若い頃、生態学的視点の地域計画に出会いました。その後やや大きく長期にわたり家庭菜園で野菜、果樹作りを経験した際、自然農法の存在を知り自然が持つ能力に身をもって気付きました。その農法での雑草の存在意義を植物が持つ生態学的能力を引き出すことでアートとして証明をできないかと、ねこじゃらしの構造や特性を活かして廃材で立体作品を制作しました。その後、植物の種類を増やしてその立体作品を「動植物」と名付けました。
アート作品だけでは弱いのでより環境啓発に繋げることを目的に美術教育的側面も持たせるために「松笠は未来のえねるぎー?」と名付けた松笠の開閉を利用したエコアプローチ造形(エコ教材)をはじめ各種エコ造形を開発しワークショップや授業として実施してきました。
また「動植物」に登場する植物達をモチーフにしてメゾチントで「植物達の時間」シリーズを制作しました。その後、ピンホール写真で「植物達の時間」シリーズと「ものたちへのレクイエム」シリーズを制作しました。
数年前より、各地に木を取材して製版段階で水のみで製版可能なフォトグラヴィエールで「ものたちへのレクイエム」シリーズと「植物達の時間」シリーズを継続しています。
「ものたちへのレクイエム」は、海に流れ着いたペットボトルなどの集合作品を除き、多くは打ち捨てられた状態の物をドキュメントとして撮影したものです。しかし最近は興味を引く現場に出遭うことが少なくなりました。
木は海や空から見ると地球を覆う苔のような不思議なものに感じることがあります。しかしその中に入ると・・・。「植物達の時間―木相あるいは木態―」で私が表現したいのは、ほぼ自然が作り出した印象的な形状や状況の無名の木々達の様相です。それらは銘木古木や巨木の類ではありません。写真に写りこんだ余分な情報を調整できることと美術をやる者の業なのか手応えのある「もの」に換えることを主たる目的として写真ではなく版画での表現をしています。
フォトグラヴィエール「Human Traces -人跡-」シリーズは、人間存在の「痕跡」が闇に浮遊する様子を表現したものです。この星を人工物で覆いつくそうとしている私たちの未来の暗示を試みた作品です。
2004年、任意団体「エコロジカルアート・ジャパン」を立ち上げ協賛企業、美術館、教育機関などで作品展示とエコアプローチ造形ワークショップをセットにした活動を行っています。
略歴
1952年 | 長野県生まれ |
1977年 | 東京芸術大学美術学部油画専攻卒業 |
1979年 | 東京芸術大学大学院壁画研究室修了 |
2004年 | エコロジカルアート・ジャパン設立 |
主な個展
1977年 | 個展(企画:盛岡第一画廊) |
1980年 | 「Japanese Kite One Man Show」(企画Allens Lane Art Center Philadelphia U.S.A) |
1985年・1986年・1987年 | 個展(ギャラリー山口 東京) |
1996年 | 個展(企画:たまプラーザ東急SC 横浜市) |
1997年 | 個展(企画:はる工房 つくば市) |
1999年 | 個展(企画:小野画廊 東京) |
2000年 | 個展(企画:小野画廊 東京) |
2001年 | 個展(企画:ギャラリー舫 東京) |
個展 NiCAF2001(東京国際フォーラム) <現Art Fair Tokyo> | |
2002年 | 個展(企画:ギャラリー・アート・ポイント 東京) |
2005年 | 個展(企画:ギャラリー舫 東京) |
2007年 | 個展(企画:アートギャラリー閑々居 東京) |
2013年 | 個展(企画:ギャラリーDIVA 横浜) |
2016年 | 個展(上田市立美術館) |
2017年 | 個展(企画:アートギャラリー閑々居 東京) |
2020年 | 個展(企画:Gallery Kamon Irie 東京) |
個展(新宿区環境教育情報センター・エコギャラリー新宿) | |
他 | |
個展28回 |
主な受賞
1975年 | 東京藝術大学 | 「安宅賞」 |
1995年 | 第5回環境彫刻&ユーモアアート展(船橋市公園協会) | 「最優秀賞」 |
1996年 | 第5回アーバナート展(パルコ・アート・プロジェクト) | 「優秀賞」 |
1997年 | チェルノヴィリ・メモリアル・コンペティション(チェルノヴィリ子ども基金) | 「佳作」 |
1998年 | 第3回立体小品全国公募展(小野画廊) | 「最優秀賞」 |
第34回神奈川県美術展(神奈川県民ギャラリー) | 「大賞」 | |
1999年 | 第28回現代日本美術展(主催:毎日新聞社) | 「佳作」「横浜美術館賞」 |
2000年 | 第5回アート公募2001(SOKO 新木場) | 「ギャラリー舫賞」 |
2001年 | 第40回北陸中日美術展(石川県立美術館) | 「佳作」 |
2003年 | 天理ビエンナーレ2003一般公募部門(天理市) | 「道友社賞」 |
2004年 | とよた美術展‘04(豊田市美術館) | 「優秀賞」 |
2005年 | 第13回プリンツ21グランプリ展(東和ギャラリー) | 小品部門「グランプリ」 |
2020・21年 | 第37・38回FUKUIサムホール美術展(金津創作の森財団) | 「佳作」 |
2023年 | 第41回上野の森美術館大賞展 | (賞候補) |
他 |
主なグループ展
1985年・1986年 | オブジェ東京(パルコ・アート・プロジェクト) |
1988年-1999年 | グループ8展(山梨県立美術館) |
1992年 | 第5回山梨県新人選抜展(主催:山梨県立美術館) |
1994年 | 第10回記念こうふ展「動く彫刻」(主催:甲府市 山梨県立美術館) |
1996年・1997年 | 神奈川県美術展(神奈川県民ホール) |
1997年-2005年 | 富嶽ビエンナーレ(静岡県立美術館) |
1998年-2000年 | 現代日本美術展(東京都美術館、京都市美術館) |
2004年 | 「みなび展」<展示・ワークショップ>(山梨県立美術館 企画:みなび展実行委員会) |
2010年-2014年 | 日本針穴写真協会展(江東区文化会館) |
2014年 | CONSTELLATION・2014(上野の森美術館) |
2020年 | 銀座・京橋サムホール展2020 |
2020年-2022年 | 開廊36周年「この星のゆくえ展」(木の葉画廊・東京) |
2020年-2022年 | FUKUIサムホール美術展(金津創作の森財団) |
2021年-2023年 | 池袋アートギャザリングIAG AWARDS (東京藝術劇場) |
2021年-2024年 | 上野の森美術館大賞展 |
神奈川県展(全国公募・県民ホール) | |
2022年 | 第12回西脇市サムホール美術展(西脇市岡之山美術館) |
2022年・2024年 | 池袋回遊派美術展IAGセレクト展(自由学園明日館) |
2024年 | 第14回大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ(大野城市) |
主なエコアプローチ造形ワークショップ、授業、講演会
1999年 | トークin ステーション(展示・講演会・たまプラーザ東急SC 企画:フロムイブ) |
2000年-2002年 | 授業(武蔵野美術大学) |
2002年 | 授業(港区立青山小学校 企画:森美術館パブリックプログラム) |
2005年 | 展示・ワークショップ(企画:船橋市こども美術館) |
2006年 | 「こどもぎゃらりー」(ワークショップ・あざみ野アートフォーラム 企画:横浜市芸術文化振興財団) |
授業(展示・東小学校 企画:横浜市芸術文化振興財団アウトリーチ事業) | |
「信州大学教育学部・環境ISO 14001 認証取得1周年記念事業」(展示・講演会・ワークショップ 主催:教育学部) | |
ワークショップ(企画:古河市街角美術館) | |
2007年 | ワークショップ(企画:東京電力 テプコ浅草館) |
ワークショップ(中央区立泰明小学校 企画:ギャラリーネットあおぞらDE アート実行委員会) | |
2008年 | ワークショップ(企画:平塚市美術館) |
教員免許講習講座(企画:上田女子短期大学) | |
2009年-2014年 | 授業(長野大学) |
2010年 | 南アルプス市芦山岳館(企画:山岳館) |
2013年 | ギャラリーDIVA(横浜市 企画:ギャラリーDIVA) |
2016年 | 長野県やま保育研修会(企画:上田女子短期大学) |
2017年 | 教員免許更新講座(企画:長野県私立幼稚園協会) |
2022年-2023年 | 信濃毎日新聞「思索のノート」メゾチント作品全12回挿絵制作 |
パブリックコレクション
横浜美術館
船橋市公園協会
プリンツ21
American Kraft Museum NY(動植物動画)
上田市丸子文化会館
鹿教湯リハビリテーションセンター
盛岡市
メディアによる作品紹介
岩手放送
長野放送
信越放送
NHK全国ニュース
NHK「環境&フォトメッセージ」
毎日新聞
信濃毎日新聞
毎日新聞横浜支局
東京人(東京電力グリーン電力基金)
月刊美術
月刊ギャラリー 他